会社のブログの方で、「プロジェクト・ロボットの頭」について書き始めた。
そのプロジェクトを起こした「背景」にかなり個人的なものがあるので、個人的な部分についてはこちらに書いておくことにする。
背景1
まだ私の父が生きていた頃、「親父に近所を安全に歩かせてやりたいなぁ」と思ったものでした。私の父は亡くなる10年くらい前に脳卒中でマトモに歩けなくなってしまって、散歩もかなり怪しい感じだったのです。
そこで「自分の代わりに外を歩いて、視覚をストリーミングして、HMDで見る」ことは出来ないかと考えました。つまり、VRで「徘徊」するというメカが出来ないかと言うことです。ちなみに、父はいわゆるボケ老人にはまだなっていませんし、最後の入院の直前までWordで雑文を書いたりしていました。
ドローンとか使えば、それ程技術的なハードルは高くなさそうですが、ドローンだと
- 航続時間が短い
- 目線の高さで安定飛行させるのは様々な理由で不可能
- ロストとか面倒臭い(私は父と同居してない)
というように、問題解決にはなりません。また、いろんな規制が面倒臭いとかあって、ドローンを使う案は早々に諦めることになります。
いろいろ考えて、「二本の脚があって、脚には車輪がついているもの」はどうかと考えました。これだと、
- 基本的に車輪で移動すれば航続時間をあまり心配しなくて良い
飛ばないから軽量化もあまり考えないで済むので、大きな動力源(電池)も使えそう - 基本を倒立振子にすれば、二本足歩行ほど大変なことをしなくて済む
- 地に足が着いているので、「目線の高さ」についての心配があまりない
ということでうまく行きそうです。もっとも、技術的なハードルがいっぱいあるので、そう簡単には実現出来ないわけですが、ドローンでどうこうするよりは解決に近そうです。
まぁ、そんなことを妄想しているうちに父は亡くなってしまったのですが、個人的にも入院したりした時の外に出られないのは結構ストレスだったこともあって、今は「未来の自分のため」ということと考えています。
背景2
先日のmayumi(弊社社員)の書いたエントリに
というのがあります。こいつを見てると、なんとなく
こいつを連想するのですよ。漠然と似てると言うか、誰が作ってもだいたいこんな感じになると言うか。
そうなると、件のロボットキットにマトモな「頭」をつけて動かしたら楽しいのではないかと思うのは、当然とも言えることではないでしょうか?
そう考えていろいろ見ていると、
適当に足回りをつけたらロボットとして機能するもの
というものに、一定の需要があるのではないかと考えました。
たとえば、古めのルンバにはUARTの口があって、そこをいろいろ小細工するとROSで動かしたりすることが出来ます。以前にやはりmayumiが、
raspberrypiからルンバを操作する(1)
raspberrypiからルンバを操作する(2)
raspberrypiからルンバを操作する(3)
raspberrypiからルンバを操作する(4)
というエントリを書いてました。
この時は、RaspberryPiとUARTを適当につないでいて、あまり格好の良いものではありませんでした。「動いた動いた」と喜ぶには十分ですが、特にこれと言った動作をさせようとも考えられませんでした。
他方、ROS界隈には「TurtleBot」なるものがあります。
ROSの入門に出て来るものでLiDARもついていろんなことが出来るものなのですが、こいつが結構いいお値段します(安くても7万はする)。とは言え、ROSの勉強には良いもののようなので、「適当に足回りをつけたらTurtleBot互換のロボットが作れるもの」があったら良いなと思いました。具体的には、ルンバにつなぐとルンバがTurtleBotとして動いてくれたりするとお手軽で良いし、ロボットに挫折しても最悪でもルンバになります。
背景3
先日のmayumiのエントリに
というのがあります。
StereoPiのアプリケーションは単にステレオ画像のストリーミングが出来るだけではなくて、他にもdepth mapの作成とかも出来るようです。うまく使えば自己位置推定とかしながら自律的に動くロボットを作るベースに出来るのではないかと考えました。
こういった遊戯は多分子供でも興味持つでしょうし、うまくお膳だてしてやれば知的な玩具としてSTEMへのステップになるのではないでしょうか。そこまで考えなくても、
適当つないだら結構本格的なロボットになる「頭」
ってあったら楽しいと思いません?